「最近いびきがうるさいと言われる…」 「日中、強い眠気に襲われる…」もしかしたら、それらは睡眠時無呼吸症候群のサインかもしれません。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が何度も止まる病気で、放置すると高血圧や糖尿病などの深刻な合併症を引き起こす危険性があります。このページでは、睡眠時無呼吸症候群の症状、原因、検査方法、治療法、そして日常生活でできる対策方法まで、分かりやすく解説します。セルフチェックリストも掲載しているので、ご自身の状態を把握し、適切な対策を始めるきっかけとしてご活用ください。この記事を読むことで、睡眠時無呼吸症候群の危険性や早期発見の重要性を理解し、健康的な睡眠を取り戻すための第一歩を踏み出せるでしょう。適切な治療と対策によって、日中の眠気や倦怠感を解消し、生活の質を向上させることが可能です。
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome: SAS)は、睡眠中に呼吸が何度も止まる、あるいは浅くなる病気です。単にいびきが大きいというだけでなく、睡眠の質を低下させ、日中の眠気や集中力の低下、さらには高血圧や糖尿病などの生活習慣病、心臓血管疾患、脳血管疾患のリスクを高めるなど、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。そのため、適切な診断と治療が重要です。
睡眠時無呼吸症候群の定義
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に10秒以上の無呼吸が一時間に5回以上、あるいは7時間睡眠中に30回以上起こる状態と定義されています。無呼吸とは、空気の流れが90%以上減少する状態を指します。呼吸が止まるだけでなく、呼吸が浅くなる状態(低呼吸)も含まれます。これらの無呼吸や低呼吸によって、血液中の酸素飽和度が低下し、様々な症状が現れます。
睡眠時無呼吸症候群の種類
睡眠時無呼吸症候群は、大きく分けて以下の3つの種類に分類されます。
種類 | 説明 | 特徴 |
---|---|---|
閉塞性睡眠時無呼吸症候群 |
最も一般的なタイプで、睡眠中に上気道が閉塞することで起こります。肥満、扁桃肥大、アデノイド肥大、下顎が小さいなどが原因となることが多いです。舌根沈下や喉の筋肉の弛緩も原因となります。 |
いびきが大きく、断続的である。無呼吸の後に大きな息を吸い込む。日中の強い眠気、倦怠感。 |
中枢性睡眠時無呼吸症候群 |
脳の呼吸中枢が正常に機能せず、呼吸を指令する信号が送られなくなることで起こります。脳卒中、心不全、神経筋疾患などが原因となることがあります。 |
いびきはあまりかかない。呼吸努力が見られない。神経学的症状を伴うことがある。 |
混合型睡眠時無呼吸症候群 |
閉塞性睡眠時無呼吸症候群と中枢性睡眠時無呼吸症候群の両方の特徴を併せ持つタイプです。最初は閉塞性で、その後中枢性となる場合が多いです。 |
症状は閉塞性と中枢性の混合型となる。診断が難しい場合もある。 |
これらの種類の中でも、閉塞性睡眠時無呼吸症候群が最も多く、全体の約9割を占めていると言われています。それぞれのタイプによって原因や症状、治療法が異なるため、正確な診断が重要となります。特に、中枢性睡眠時無呼吸症候群は、他の重篤な疾患が隠れている可能性もあるため、専門医による詳しい検査が必要です。
睡眠時無呼吸症候群の症状
睡眠時無呼吸症候群の症状は、大きく分けて「睡眠中の症状」と「日中の症状」に分けられます。自覚症状がない場合も多いので、周囲の人からの指摘や、下記の症状に当てはまるものがないか確認してみましょう。
代表的な症状
睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状は以下の通りです。
症状 | 説明 |
---|---|
大きないびき | 不規則なリズムのいびき、突然いびきが止まる、息苦しそうないびきなどが特徴です。 |
無呼吸 | 睡眠中に呼吸が止まる状態です。10秒以上続く場合は要注意です。家族やパートナーに指摘されることが多いです。 |
睡眠中の窒息感 | 呼吸が苦しくなって目が覚めることがあります。 |
頻繁な夜間覚醒 | 何度も目が覚めてしまい、熟睡できません。トイレに行くために起きる回数が多いのも特徴です。 |
寝汗 | 自律神経の乱れにより、大量の寝汗をかくことがあります。 |
起床時の頭痛 | 酸素不足により、朝起きた時に頭痛がすることがあります。 |
日中の強い眠気 | 夜間に熟睡できていないため、日中に強い眠気に襲われます。 |
倦怠感 | 常に体がだるく、疲れやすい状態になります。 |
集中力の低下 | 仕事や勉強に集中することが難しくなります。 |
イライラしやすくなる | 自律神経の乱れにより、感情のコントロールが難しくなり、イライラしやすくなります。 |
記憶力の低下 | 新しいことを覚えにくくなったり、物忘れが増えたりします。 |
性欲減退 | 男性ホルモンの分泌が低下し、性欲が減退することがあります。 |
口渇 | 口呼吸により、口の中が乾燥しやすくなります。 |
夜間頻尿 | 睡眠中に何度もトイレに行きたくなります。 |
自覚症状がない場合の注意点
睡眠時無呼吸症候群は自覚症状がない場合も多いです。そのため、家族やパートナーにいびきや無呼吸を指摘された場合は、医療機関を受診することが重要です。また、下記のような症状がある場合も、睡眠時無呼吸症候群の可能性を疑い、検査を受けることを検討しましょう。
- 日中の強い眠気
- 集中力の低下
- 倦怠感
- イライラしやすくなる
- 起床時の頭痛
特に、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がある方は、睡眠時無呼吸症候群を合併している可能性が高いと言われています。これらの疾患をお持ちの方も、一度検査を受けてみることをお勧めします。
睡眠時無呼吸症候群の危険性
睡眠時無呼吸症候群は、単にいびきがうるさいといった問題にとどまらず、様々な合併症を引き起こし、健康に深刻な影響を与える可能性があります。適切な治療を行わず放置すると、生活の質の低下だけでなく、生命に関わる危険性も高まります。早期発見と適切な治療が非常に重要です。
放置するとどうなる?
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、様々な症状が悪化し、日常生活に支障をきたすようになります。夜間に何度も呼吸が止まることで、身体は慢性的な酸素不足に陥り、日中の強い眠気や倦怠感、集中力・記憶力の低下を引き起こします。仕事や学業のパフォーマンス低下はもちろん、日常生活でのミスや事故のリスクも増加します。また、睡眠不足からイライラしやすくなったり、抑うつ状態になるなど、精神的な影響も懸念されます。
高血圧や糖尿病などの合併症リスク
睡眠時無呼吸症候群は、高血圧、糖尿病、心疾患、脳血管疾患などの生活習慣病のリスクを大幅に増加させることが知られています。夜間の低酸素状態は、血管内皮機能を障害し、動脈硬化を促進します。また、交感神経が過剰に活性化されることで、血圧や血糖値が上昇しやすくなります。これらの合併症は、心筋梗塞や脳卒中などの重篤な疾患につながる可能性があり、生命に関わる危険性も高まります。
合併症 | 関連性 |
---|---|
高血圧 | 睡眠中の低酸素状態や交感神経の活性化により血圧が上昇しやすくなります。 |
糖尿病 | インスリン抵抗性が亢進し、血糖値のコントロールが難しくなります。 |
心筋梗塞・狭心症 | 動脈硬化の進行により、心臓への血流が阻害されます。 |
脳卒中 | 動脈硬化や高血圧により、脳血管が破裂または閉塞します。 |
不整脈 | 低酸素状態や交感神経の活性化により、心臓のリズムが乱れます。 |
心不全 | 心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送れなくなります。 |
認知症 | 慢性的な低酸素状態が脳にダメージを与え、認知機能の低下を招きます。 |
交通事故のリスク増加
睡眠時無呼吸症候群の人は、日中の強い眠気や集中力の低下により、交通事故を起こすリスクが健常者に比べて2~7倍も高いと言われています。運転中に突然眠気に襲われる居眠り運転だけでなく、判断力や反応速度の低下も事故につながる危険因子となります。特にプロドライバーなど、運転業務に従事する人は、睡眠時無呼吸症候群の検査と適切な治療を受けることが重要です。自分自身だけでなく、周囲の人の安全を守るためにも、睡眠時無呼吸症候群の危険性を認識し、対策を講じる必要があります。
睡眠時無呼吸症候群のセルフチェック
睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合、まずはセルフチェックを行いましょう。簡易的なチェックで、ご自身の状態を把握し、医療機関への受診が必要かどうかを判断する目安になります。ただし、セルフチェックは確定診断ではないため、精密検査が必要な場合は必ず専門医を受診してください。
いびきの特徴をチェック
いびきは睡眠時無呼吸症候群の重要なサインの一つです。以下のような特徴があるいびきは、特に注意が必要です。
- 大きないびき:周囲の人にうるさいと言われるほどの大きな音
- 断続的ないびき:いびきをかいていて突然止まり、また始まる
- 息苦しいいびき:呼吸が止まっているように聞こえる
- 喘鳴を伴ういびき:「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった音が混じる
これらのいびきが頻繁に起こる場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いため、医療機関への受診を検討しましょう。
日中の眠気や倦怠感
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中の呼吸障害により、質の良い睡眠が取れないため、日中に強い眠気や倦怠感を感じることがあります。以下のような症状がある場合は、注意が必要です。
- 日中の強い眠気:会議中や運転中など、起きていなければならない時に眠ってしまう
- 集中力の低下:仕事や勉強に集中できない
- 倦怠感:常に体がだるく、疲れやすい
- 起床時の頭痛:寝起きに頭が重い、痛い
- イライラしやすくなる:些細なことでイライラする
これらの症状は、睡眠不足以外にも様々な原因が考えられますが、上記で挙げたいびきの特徴と併せて出現する場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性を疑いましょう。
その他、関連する症状の確認
いびきや日中の眠気以外にも、睡眠時無呼吸症候群に関連する症状があります。以下の症状に心当たりがある場合は、セルフチェックリストなどで確認してみましょう。
症状 | 説明 |
---|---|
夜間の頻尿 | 夜中に何度もトイレに起きる |
口渇 | 朝起きた時に口が渇いている |
寝汗 | 夜中に大量の汗をかく |
金縛り | 体が動かせなくなる |
悪夢 | 怖い夢をよく見る |
簡易検査キットの利用
自宅で手軽に睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるかをチェックできる簡易検査キットが市販されています。指先にセンサーを装着して、睡眠中の血中酸素飽和度や脈拍数を測定することで、睡眠時無呼吸の指標となるデータを取得できます。これらのキットはあくまでスクリーニング検査であり、確定診断を行うものではありません。検査結果が陽性であった場合は、必ず医療機関を受診し、精密検査を受けましょう。また、簡易検査キットの種類によっては、保険適用外の費用がかかる場合がありますので、事前に確認しておきましょう。具体的な商品名としては、「SASスクリーニング検査セット」などがあります。
睡眠時無呼吸症候群の検査方法
睡眠時無呼吸症候群の検査には、簡易検査と精密検査があります。まずは医療機関を受診し、問診や身体検査を受け、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるかどうかを判断します。その上で、必要に応じて精密検査を行います。
医療機関での精密検査
精密検査には、主に終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)と簡易型睡眠ポリグラフ検査(簡易PSG)があります。これらの検査により、睡眠中の呼吸状態や睡眠の質を客観的に評価し、睡眠時無呼吸症候群の確定診断を行います。
終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
PSGは、睡眠時無呼吸症候群の診断におけるゴールドスタンダードとされています。一晩入院し、脳波、眼球運動、筋電図、心電図、呼吸状態、血中酸素飽和度、体位などを同時に記録します。これらのデータから、無呼吸低呼吸指数(AHI)、睡眠段階、睡眠効率などを算出し、睡眠の質や呼吸障害の程度を詳細に分析します。
検査項目 | 内容 |
---|---|
脳波 | 睡眠の深さを評価します。 |
眼球運動 | レム睡眠とノンレム睡眠の判定に用います。 |
筋電図 | 睡眠中の筋肉の活動を測定します。周期性四肢運動障害などの診断にも役立ちます。 |
心電図 | 不整脈などの心疾患の有無を確認します。 |
呼吸状態 | 呼吸回数、気流、いびきなどを測定し、無呼吸や低呼吸の有無、程度を評価します。 |
血中酸素飽和度 | 睡眠中の血液中の酸素飽和度を測定します。無呼吸時に低下するかどうかを確認します。 |
体位 | 睡眠中の体位を記録します。仰臥位で無呼吸が悪化しやすい傾向があります。 |
簡易型睡眠ポリグラフ検査(簡易PSG)
簡易PSGは、PSGよりも簡略化された検査で、自宅で行うことができます。検査項目はPSGよりも少なく、主に呼吸状態、血中酸素飽和度、脈拍などを測定します。入院の必要がないため、患者の負担が軽減されますが、PSGに比べて診断精度は劣ります。そのため、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合や、簡易PSGの結果で確定診断が難しい場合は、PSGを行う必要があります。
検査項目 | 内容 |
---|---|
呼吸状態(気流、胸郭運動、腹壁運動) | 呼吸の努力や回数、無呼吸や低呼吸の有無を評価します。 |
血中酸素飽和度 | 血液中の酸素飽和度を測定し、無呼吸による低下の有無を確認します。 |
脈拍数 | 無呼吸時の脈拍数の変化を捉えます。 |
体位 | 睡眠中の体位を記録します。 |
これらの検査結果を元に、医師は適切な治療法を決定します。検査を受ける際には、事前に医師に相談し、検査方法や費用、注意点などを確認しましょう。
睡眠時無呼吸症候群の治療方法
睡眠時無呼吸症候群の治療法は、症状の重症度や患者さんの状態に合わせて選択されます。主な治療法は以下の通りです。
CPAP療法
CPAP(シーパップ)療法は、持続陽圧呼吸療法とも呼ばれ、睡眠時無呼吸症候群の最も一般的な治療法です。鼻マスクを装着し、空気を送り込むことで気道を広げ、無呼吸を防ぎます。効果が高く、中等症から重症の患者さんに広く用いられています。機種によって加湿機能や圧力調整機能などが搭載されており、自分に合った機種を選ぶことが重要です。フィリップス・レスピロニクス社の「ドリームステーション」や、帝人ファーマ社の「レスメド」などが有名です。
マウスピース(口腔内装置)
軽症から中等症の患者さんに適応される治療法です。下顎を少し前に出すことで気道を広げ、無呼吸を防ぎます。CPAP療法に比べて手軽ですが、効果には個人差があります。歯科医師による作成・調整が必要で、顎関節症のある方には適さない場合があります。費用は保険適用で3割負担の場合、1万5千円~3万円程度が相場です。
手術療法
他の治療法で効果が得られない場合や、扁桃肥大やアデノイド肥大など、気道の閉塞を引き起こす原因が明らかな場合に検討されます。手術の種類には、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)、舌根移動術、下顎骨前進術などがあります。
口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)
口蓋垂(のどちんこ)や軟口蓋の一部を切除し、気道を広げる手術です。比較的簡単な手術ですが、効果が限定的である場合もあります。
舌根移動術
舌の付け根部分を前に移動させることで気道を広げる手術です。UPPPと併用されることもあります。
下顎骨前進術
下顎骨を前に移動させることで気道を広げる手術です。効果が高い一方、大がかりな手術となります。
生活習慣の改善
肥満、飲酒、喫煙などは睡眠時無呼吸症候群を悪化させる要因となります。生活習慣の改善は、他の治療法と併用することで効果を高めるだけでなく、予防にも繋がります。
改善項目 | 具体的な方法 | 期待できる効果 |
---|---|---|
肥満の解消 | 適度な運動、バランスの良い食事 | 気道の閉塞を軽減 |
禁煙 | 禁煙外来の利用、ニコチンパッチの使用 | 気道の炎症を抑える |
飲酒制限 | 飲酒量を減らす、寝る前の飲酒を控える | 筋肉の弛緩を抑制 |
睡眠姿勢の改善 | 横向き寝を意識する、いびき防止枕を使用する | 気道の閉塞を軽減 |
上記以外にも、鼻中隔湾曲症やアレルギー性鼻炎など、鼻呼吸を妨げる疾患がある場合は、耳鼻咽喉科での治療も検討されます。睡眠時無呼吸症候群の治療は、単一の治療法ではなく、複数の治療法を組み合わせることでより効果的になる場合もあります。医師と相談し、自分に合った治療法を見つけることが重要です。
睡眠時無呼吸症候群と対策方法
睡眠時無呼吸症候群の治療には、CPAP療法などの医療的な介入が必要な場合もありますが、日常生活における対策も症状の改善に大きく貢献します。ここでは、ご自身で取り組める対策方法を詳しく解説します。
生活習慣の改善
睡眠時無呼吸症候群の症状を軽減するためには、生活習慣の見直しが不可欠です。特に、肥満、喫煙、飲酒、睡眠姿勢は重要な要素となります。
肥満の解消
肥満は気道の狭窄を招き、睡眠時無呼吸症候群のリスクを高める大きな要因です。適正な体重を維持するために、バランスの良い食事と適度な運動を心がけましょう。具体的な方法としては、1日3食規則正しく食べる、間食を控える、野菜や果物を積極的に摂る、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を習慣づけるなどが挙げられます。過度なダイエットは逆効果になる場合もあるので、医師や栄養士に相談しながら進めるのがおすすめです。
禁煙
喫煙は気道に炎症を引き起こし、呼吸を阻害します。睡眠時無呼吸症候群の症状悪化につながるだけでなく、様々な合併症のリスクも高めるため、禁煙は必須です。禁煙補助薬や禁煙外来の利用も検討しましょう。
飲酒制限
アルコールは筋肉を弛緩させる作用があり、気道を狭くしやすくします。就寝前の飲酒は特に避け、飲酒量を控えるようにしましょう。飲酒の習慣がある方は、医師に相談しながら適切な飲酒量を決めましょう。
睡眠姿勢の改善:横向き寝
仰向けで寝ると、舌根沈下や気道閉塞が起こりやすくなります。横向き寝は気道を確保しやすく、いびきや無呼吸を軽減する効果が期待できます。抱き枕や専用のクッションを利用して、横向き寝を維持するのも有効です。自分に合った寝姿勢を見つけることが重要です。
睡眠環境の改善
睡眠の質を高めるためには、睡眠環境を整えることも大切です。寝室の温度や湿度、照明、騒音などを調整し、リラックスできる空間を作りましょう。
項目 | 理想的な状態 |
---|---|
室温 | 18~20℃ |
湿度 | 50~60% |
照明 | 間接照明や豆電球など、暗めの照明 |
騒音 | できるだけ静かな環境 |
快適な睡眠環境は、睡眠時無呼吸症候群の症状緩和だけでなく、日中のパフォーマンス向上にもつながります。
ストレスマネジメント
ストレスは自律神経のバランスを崩し、睡眠の質を低下させる要因となります。睡眠時無呼吸症候群の症状悪化にもつながるため、ストレスを適切に管理することが重要です。リラックスできる時間を作る、趣味を楽しむ、適度な運動をするなど、自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。ヨガや瞑想なども効果的です。
規則正しい生活リズムの維持
毎日同じ時間に起床し、就寝することで体内時計が整い、質の高い睡眠を得やすくなります。睡眠時無呼吸症候群の症状改善にも効果的なので、規則正しい生活リズムを心がけましょう。週末もできるだけ平日と同じような生活リズムを維持することが大切です。
これらの対策を継続的に実践することで、睡眠時無呼吸症候群の症状を軽減し、より健康的な生活を送ることができます。ただし、セルフケアだけでは改善が見られない場合や、症状が重い場合は、必ず医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
いびき対策グッズ
いびき対策グッズは、睡眠時無呼吸症候群の治療ではありませんが、いびきの軽減に役立つ場合があり、手軽に試せるというメリットがあります。ただし、効果には個人差があり、根本的な解決には医療機関の受診が不可欠です。重度の睡眠時無呼吸症候群の場合は、これらのグッズだけでは不十分な可能性が高いため、医師の診断と適切な治療を受けることが重要です。
いびき防止枕
いびき防止枕は、頭部や頸部の位置を調整することで気道を確保し、いびきを軽減する効果が期待できます。形状や素材は様々で、低反発素材やパイプ素材など、自分に合ったものを選ぶことが重要です。高さ調節機能付きの製品も販売されています。
いびき防止枕の選び方
自分に合った高さの枕を選ぶことが重要です。高すぎても低すぎても気道が狭くなる可能性があります。横向き寝に適した形状の枕を選ぶのも効果的です。
おすすめ商品
- 西川リビング いびき防止枕
- テンピュール ミレニアムネックピロー
- 王様の夢枕
鼻腔拡張テープ
鼻腔拡張テープは、鼻腔を広げることで鼻呼吸をスムーズにし、いびきを軽減する効果が期待できます。粘着テープで鼻に貼り付けるタイプが一般的です。薬局やドラッグストアなどで手軽に購入できます。ただし、皮膚の弱い方はかぶれなどに注意が必要です。
鼻腔拡張テープの効果
鼻づまりが原因のいびきに効果的です。鼻呼吸がしやすくなることで、口呼吸による乾燥や喉の炎症を防ぐ効果も期待できます。
おすすめ商品
- ブリーズライト
口腔内装置
口腔内装置(マウスピース)は、下顎を少し前に出すことで気道を広げ、いびきや軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群の治療に使用されます。歯科医師が個々の歯型に合わせて作製するため、フィット感が高く、効果も期待できます。ただし、顎関節症のある方などは使用できない場合があります。
口腔内装置の種類
様々な種類がありますが、大きく分けて「単関節型」と「双関節型」があります。単関節型は下顎全体を前方に移動させるタイプで、双関節型は左右の下顎をそれぞれ独立して調整できるタイプです。
おすすめ商品(医師の診断・処方が必要です)
市販品ではなく、医療機関で処方されるものです。
その他
上記以外にも、いびき対策グッズとして、横向き寝を促進する抱き枕や、空気清浄機、加湿器なども効果的です。睡眠環境を整えることも、いびきの軽減に繋がります。
いびき対策グッズの比較
グッズ | 効果 | 価格帯 | 入手方法 | 注意点 |
---|---|---|---|---|
いびき防止枕 | 気道の確保 | 3,000円~10,000円程度 | 寝具店、オンラインストア等 | 自分に合った高さを選ぶ |
鼻腔拡張テープ | 鼻呼吸の促進 | 1,000円~2,000円程度 | 薬局、ドラッグストア等 | 皮膚かぶれに注意 |
口腔内装置 | 気道の確保 | 数万円~数十万円 | 歯科医院 | 医師の診断・処方が必要 |
いびき対策グッズを選ぶ際には、自身のいびきの原因や症状、そして予算などを考慮し、最適なものを選択しましょう。効果が感じられない場合や、症状が悪化する場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合は、専門医の診断と適切な治療を受けるようにしてください。
まとめ
この記事では、睡眠時無呼吸症候群の定義、症状、危険性、セルフチェック、検査方法、治療方法、そして対策方法について解説しました。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が何度も止まる病気です。大きないびきや日中の強い眠気が特徴で、放置すると高血圧や糖尿病などの合併症、さらに交通事故のリスク増加にも繋がります。そのため、早期発見と適切な治療が重要です。
セルフチェックで睡眠時無呼吸症候群の可能性が疑われる場合は、医療機関を受診し、精密検査を受けましょう。終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)などにより、確定診断が下されます。治療法には、CPAP療法、マウスピース、手術療法、生活習慣の改善などがあり、症状や重症度に合わせて適切な方法が選択されます。CPAP療法は最も効果的な治療法として知られています。
また、肥満解消、禁煙、飲酒制限、横向き寝などの生活習慣の改善も効果的です。いびき防止枕や鼻腔拡張テープといった対策グッズも補助的に活用できます。睡眠時無呼吸症候群は、生活の質を低下させるだけでなく、健康にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。少しでも気になる症状がある方は、まずはセルフチェックを行い、必要に応じて医療機関に相談しましょう。